タックス・ニュース 第246号 2017年6月号

タックス・ニュース 第246号 2017年6月号

トピックス

Ariya Groupからのお知らせ

タックスニュース解説本『コンサルタント タイ国税務事例』刊行!

過年度にタックスニュースに掲載したタイで事業活動を営む日系企業及びその日本本社にとって重要な論点を含む最高裁判例や歳入局ルーリングを編纂し、さらに日本の弁護士、公認会計士による詳細な解説を付与した『コンサルタント タイ国税務事例』を定価6,000バーツ(弊事務所タックスニュース読者価格)にて販売中です(紀伊国屋書店(バンコク店(伊勢丹)及びエム・クウォーティエ店)などでは7,500バーツで販売しております)。

日系企業のタイの税調の対処は、実際の実務を知悉する日本人経営者が立会うことが不可欠とされる中、1992年タイで創業以来、日本人公認会計士、弁護士が100名あまりのタイ人スタッフとともに積んだノウハウによる各ケースの詳細な説明は、日本の公認会計士、税理士などの実務家、研究者はもとより、日本人駐在員にも生きた格好な教材となると自負しております。

言語 日本語
頁数 504頁
税務調査~賦課決定行使期限等
付加価値税~輸出免税、課税標準、フリーゾーン課税、サービスに対する課税等
法人所得税~益金損金の計算、話題の移転価格税制等
源泉徴収税
国際租税~租税条約、事業所得、恒久的施設、ロイヤルティー課税等
BOIに対する税制
個人所得税~日本払い給与の課税、福利厚生の税務上取り扱い等
特定事業税、印紙税、関税等

ご購入を希望される方は、下記まで是非お問い合わせください。

お問い合わせ先
電話 02-258-5851-2
メール secretary@ariyagroup.net
担当 池田

Payrollシステムの販売

弊事務所開発の勤怠管理・給与計算システムを販売いたします。

労務、税務、会計の専門家集団が、本当に莫大な時間をかけて、あれやこれや議論して、こつこつ作ったソフトです。

今、求められるソフトとは何だと思いますか?私たちは、こう考えます。完全なソフトはこの世にあるというのは嘘です。嘘に基づいて構築されるものにろくなものはありません。つまり、情報の正確性・法律遵守ができるかぎり達成されるソフトであること。様々なユーザーの制度に対応できるものであること。バックアップ対応が担保されていること。この給与ソフトは、適法な労務規則の策定と正確な税務により、中核となる従業員の貢献度を増し、徒らな争議や事故から守ることを目的とします。

Payroll

興味のある方は弊事務所まで直接お問い合わせいただければと存じます。

お問い合わせ先
電話 02-258-5851-2
メール shinoki@ariyagroup.net
担当 篠木

外国人事業許可書の取得を要しないサービス

2017年6月9日、商務省は、仏暦2560 (2017) 年外国人事許可書の取得を要しないサービスについて規定する財務省令を発行した。次のサービスは、タイ国事業者において事業を行い外国人と競争ができる準備ができたものとして、仏歴2542(1999年)外国人事業法別表3に含まれないものとしている。

  1. 金融機関に関する法律に基づく金融機関の事業、例えば、商業銀行など
  2. 金融機関に関する法律により金融機関に関連又は必要とされる事業、例えば、銀行の駐在員事務所、金融機関の代理業、顧客の要請に基づく預金サービス、輸出にかかる保険料の徴収又は債務保証代理業など(訳者注:原文まま)
  3. 金融機関法に基づく金融機関グループ間の事業、例えば、 不動産賃貸、キャッシュマネッジメントサービス、顧客の事業に関する文書作成サービス、ハイヤーパーチェス業、リース業等
  4. アセットマネッジメント法に基づくアセットマネッジメント業
  5. 国際貿易事業のための外国法人の駐在員事務所及び地域事務所にかかるサービス
  6. 予算手続法に基づく、政府機関又は国営企業を当事者とするサービス

解説

外資規制法における規制から一部の事業が撤廃されました。

主な事業は、上記の通り、金融事業が多いですが、上記のうち、5及び6は、一般の企業でも、かかわってくるものと思われます。

このうち、5の事業について、商務省外国人事業局は、すべての駐在員事務所及び地域統括事務所の事業が該当するとみなしており、すでに発行された商務省令に明記されている、とのことです。よって、今後は、駐在員事務所や地域統括事務所の設置については、ビジネスライセンスの取得は不要となります。これは外国法人にとって、大きな規制緩和でしょう。

ビジネスラインセスの取得が不要となる場合でも、商務省は、駐在員事務所等が所定の申請書を商務省担当部局に提出することにより、13桁の法人登記番号を付与してくれるので、これを用いて、納税申告、銀行口座開設が可能となるものと思われます。

移転価格税制についての歳入法典改正法案

仏暦…年歳入法典改正法(第…号)(相互関係会社間の移転価格対策)ドラフト(移転価格税制ドラフト)についてのパブリックヒアリング

財務大臣は、相互関係会社間における移転価格による租税回避の問題を解決するため、仏歴…年歳入法典改正法(第…号)(相互関係会社間の移転価格対策)ドラフト(移転価格税制ドラフト)を提案している。本ドラフトは、相互関係会社間の内部取引に適用される移転価格を対象としている。なぜなら、当該取引は、操作可能であり、市場原理に基づかないからである。本ドラフトの主な内容は以下の通りである。

移転価格税制ドラフトの原理及び必要性

現在、多くの企業グループが、互いに資本、経営及び管理に関する関係を有している。これら企業グループの取引は、企業が独立に行う取引(訳者注:以後、「独立企業間取引」と訳す)と異なる商業上及び財務上の条件に基づいている。さらに、当該取引は、操作可能で市場原理に基づかないものである。従って、グループ企業間で、移転価格による価格操作を行い、納税すべき税額を回避することができる。この方法は、増大または継続傾向にあり、タイの税務及び財政に悪影響を与えかねない。従って、この問題を解決及び回避するため、相互関係会社間の相互取引で、独立当事者間取引と異なる移転価格がされている取引に対してのルールを規定する。また、これは課税の平等に関する一般原則でもある。歳入法典改正(35条の3、71条の2、71条の3の追加)が必要となるゆえんである。

移転価格税制ドラフトの主な点

  1. 歳入法典第71条の2第1項では、査定官吏が税務調査を行い、相互間関係会社間で、独立企業間取引と異なる商業上又は財務上の条件で取引をしていることを認定した場合、査定官吏は、法人所得税計算のため、独立企業間取引と同様の益金又は損金を査定する権限を有する。当該査定は、外国と締結した租税条約に基づき、国際水準に合致するように行われるものとする。また、査定は財務省令に定めた規則、手続、及び条件に基づくものとする。
  2. 歳入法典第71条の2第2項は、「相互関係会社」を次の通り定義する。
    1. 会社又は法人が、他方の会社又は法人の直接間接に総資本の50%以上の株式又は持分を有する場合の当該会社又は法人と他方の会社又は法人
    2. 同一の株主又はパートナーが、ある会社の直接間接に総資本の50%以上の株式又は持分を有し、他方の会社の総資本の50%以上の株式又は持分を有する場合の当該会社又は法人と他方の会社又は法人
    3. 資本、経営、及び支配に関して関係を有する法人が、財務省令に定め津他の法人から独立した自由な運営を遂行できない場合の当該法人と他の法人
  3. 歳入法典第71条の2第2項は、査定管理が相互関係会社の益金及び損金を第71条の2第1項に従い査定する場合の租税還付の時効について規定する。当該法人は、法定期限の通り税務申告をした最終日から3年以内又は査定管理から当該益金及び損金の査定についての通知書を受け取った日から60日以内とする。
  4. 歳入法典第71条の3第1項は、財務省令が定める最低所得以上の所得を有する相互関係会社に対して、相互関係会社の情報及び歳入局長が定める書式に従った関係会社取引の総額に関する報告書を作成する義務を課している。当該報告書は、歳入法典第69条に定める申告書提出期限において、申告書とともに提出しなければならない。
    歳入法典第71条の3第2項は、上記報告書を提出した日から5年以内に、査定官吏は、歳入局長の許可を得て、財務省令に定める最低所得以上の所得を有する関係会社に対して、歳入局長が定める通り、関係取引における移転価格を分析するために必要な情報を示す、文書又は証拠を提出しなければならない。さらに、当該会社は、提出命令書を受けた日から60日以内に、当該命令に従わなければならない。命令書の通り提出できない合理的事情がある場合は、歳入局長の許可を得て、提出期限を延長することができるが、延長期限は命令書を受け取った日から120日以内とする。
  5. 歳入法典第35条の3は、71条の3に定める報告書、文書又は証拠を提出しなかった者又は合理的な理由なく不正確又は不完全な報告書、文書又は証拠を提出した者に対して、20万バーツの罰金を科すものとする。

解説

今回、かねてから懸案の移転価格税制について、パブリックヒアリングという形で、歳入局が導入しようとしている移転価格税制の輪郭が公表されました。

以前の移転価格税制のドラフトは、関係会社を有するすべての法人に関して、OECDガイドラインに定める移転価格文書の提出を法人税申告書とともに提出しなければならないかのような規定ぶりでした。ところが、今回公表されたものを見ると、一定の所得以上の所得を有する関係会社を有する企業に対して、移転価格文書の作成義務を課すともに、法人税申告時に関係取引に関する概要や総額に関する報告書の提出を義務付けるよう、制度が緩和されました。ちなみに、ここでいう移転価格文書は、BEPSプロジェクトで勧告されている三種の文書のうちローカルファイルを指すものと推察されますが、具体的には、歳入局長が定めることになっています(上記第4項参照)。つまり、すべての企業が移転価格文書提出義務を課される方針とはされなくなっています。おそらく、タイ産業界の意向をくんだもので、ほとんどの中業企業について、移転価格税制は適用されなくなるのではないか、と見込まれます。

ちなみに、日本の場合、平成28年度税制改正により、特殊関連企業と取引のある会社は、当該ローカルファイルの作成完備義務がありますが、国外特殊関連企業間取引が合計で50億円以上又は無体財産取引が合計で3億円以上ある場合には、当該ローカルファイルを申告時に同時に提出する義務が課されています。

移転価格課税を受けた場合の対応的調整については、これにより税金の還付が発生する場合、移転価格税課税を受けた日から60日以内に、税金還付の申請を行うことができるものされ、これは以前のドラフトと同じです(上記第3項参照)。ただ、関係会社の定義については、国外企業であると国内企業であるとを問わない規定ぶりとなっており、国内の関係企業者間で移転価格課税が行われた場合も、対応的調整が可能であるかのような規定ぶりに見えます。この点は、念を押してパブリックヒアリングで当局に確認したい点です。なぜなら、対応的調整がある場合、国内取引における関係会社取引に対する移転価格税制に一定の歯止めがかかることが期待しうるからです。しかし、歳入法典第65条の2(4)に定める低廉譲渡であるとして査定を受けた場合は、この規定で対応的調整ができないような規定ぶりとなっており、改正法案である72条の2第1項による移転価格課税と65条の2(4)の適用がどのように区別されるのかを含め、パブリックヒアリングで確認したい点であります。

最後に罰則は、以前は最高40万バーツでしたが、最高20万バーツに減額されており、この点も以前の案よりも緩和されています。

電子取引に対する歳入法典改正法案

電子取引を行う事業者に対する課税のための仏歴…年歳入法典改正法(第…号)についてのパブリックヒアリング

  1. 問題の本質及び原因
    1. 今日の技術の進展は、電子的方法を通じて、より簡便に、外国に居住する事業者が他国で事業を遂行すること可能としたため、外国の事業者からの電子的なチャンネルを通じた製品の購入及びサービスの提供が拡散している。しかしながら、そのような外国事業者の課税についての法律の規定には限界があり、タイの所得に影響を与え、国内事業者と外国事業者間の課税の不公平を招来している。
    2. 歳入法典は、関税法に基づく関税免除される物品について、付加価値税を免除している。現在、関税局は、輸入物品の一覧のうち、1,500バーツを超えない物品について、関税率勅令第4章第22分類に基づき関税が免除されるものとされている。従って、郵便により1,500バーツを超えない物品を輸入した場合も、付加価値税が免除となっている。さらに、郵便により外国から1,500バーツを超えない物品が輸入される取引が拡大している。この事態は、1,500バーツ以下の物品を販売する付加価値税が課される国内事業者との間で課税の不公平が起きている。
  2. 改正の必要性
    1. 電子的方法又は郵便による物品の輸入に対する付加価値税の課税を含め、タイ国の購入者に物品販売又は役務提供を行う外国事業者に対して、タイの課税を適切かつ拡大的に適用するため、及び、国内事業者と外国事業者間での公平な課税を支援するため、歳入法典を、今日の課税の態様に合うよう改正しなければならない。
  3. 重要な原則
    1. 外国の法律に基づき設立された法人で電子媒体を使用して事業を遂行し次の特徴を有する事業を遂行し、もって、タイ国内で所得及び利益を獲得する場合、当該外国事業者は、タイで事業を遂行しているものとみなされる。当該外国事業者は、タイで発生した所得及び利益につき、タイで所得税を納税する義務を有する。
      1. タイ国内のドメインを使用している
      2. タイ通貨システム又はタイからの送金システムの制作
      3. 歳入局長が定めるその他の場合
    2. 外国の法律に基づき設立された法人で電子媒体を使用しているが、タイで事業を遂行していない場合で、広告、ウェブホスティングサービス、又はその他財務省令で定めた事業を遂行する事業から課税所得を獲得する場合、納税者は、15%の税率で、源泉徴収税を控除して、歳入局に支払うものとする。
    3. タイ国外で事業を遂行する事業者で、電子媒体を使用することにより無体財産の販売又は役務提供を付加価値税を登録していない購入者又は使用者に提供した場合、当該販売又は役務の売上が年間で1.8百万バーツを超える場合、事業者は、付加価値税登録義務を負い、歳入局長の定める規則、手続及び条件に従い、付加価値税を納税する義務を負う。
    4. タイ国外で事業を遂行する事業者が、ウェブサイト、他人のソフトウェアーを通じて無体財産の販売又は役務の提供を行った場合、当該ウェブサイトの所有者又はソフトウェアーの所有者は、事業者の代理人となる。代理人は事業者のために付加価値税登録申請を行う。付加価値税登録後、代理人は、当該事業者と同じ権利、責任及び債務を有する。
    5. 1,500バーツ以下の製品を郵便により輸入する場合の付加価値税の免除を廃止する。
  4. パブリックヒアリングの目的
    1. 電子取引を行う事業者に対する課税のための仏歴…年歳入法典改正法(第…号)についてのパブリックヒアリング

解説

電子取引に対する付加価値税制の改正案についてのパブリックヒアリングです。

3.B はB to Cビジネスを念頭に置いているものと想定されますが、消費者にリバースチャージ方式でVATを課税するのが困難であることにかんがみて、外国事業者のVAT登録をさせる方式を検討している規定ぶりです。ただ、この規定を、外国事業者にどのように強制するのか、不明です。

“民間活力統合”プロジェクトにおける主要5大企業の研究開発の推進措置

2017年5月9日、内閣は、“民間活力結合”プロジェクトにおける主要5大産業の科学、技術及び革新に関する研究開発の推進のためにフレームワーク作成について承認した。また、内閣は税法上の恩典に関する歳入法典に基づく勅令の発行についても承認した。

対象となる5大産業は、下記より構成される。

  1. 食料及び農業技術
  2. 公共の健康、健康及び医療技術
  3. 電子システムにより制御される装置、ロボット、及び機械に関する技術
  4. デジタル、他の装置と結合し、それを制御するインターネット、人工知能及び埋め込み技術
  5. 創造的産業、文化及び高付加価値サービスに関する技術

勅令の主要な規定は、次の通りである。

  1. 法人もしくは法人格を有する組合が単独でまたはグループで、民間活力結合委員会の承認を得て行った支出の3倍の金額について2017年1月1日から2019年12月31日の間に始まる3会計期間に渡っての法人所得税の免税
  2. 仏暦2559(2016)年歳入法典に基づく免税に関する勅令第598号に規定される現在の特権を超えない範囲での、法人もしくは法人格を有する組合が研究及び開発に支出した金額に関する免税
  3. 免税恩典を受ける法人もしくは法人格を有する組合は、研究者の株式の全部または一部を所有し、その操業や業務を支配又は監督してはならない。加えて、投資奨励法によって奨励を受けた事業に全部又は一部たりとも関連する支出は免税とならない。

最新法令一覧表

重要法令・ルーリング全訳・解説

最高裁判所判決要旨 第5320/2559号

VAT 課税対象となる請負契約の意義

財務省令

仏暦 2559(2016)年通貨又は有価証券の国内外への送金または持込み又は持出しに関する規則について

財務省通達 (第6号)

両替の規制について

免税に関する財務省令 (第327号)

王室に不動産を譲渡した場合の個人所得税の免税

歳入局長通達 (第4号)

勅令 630 号に規定される所得税、付加価値税、特定事業税及び印紙税の免税に関する規則、手続及び条件

歳入局規則

E メールによる電子税額票システム(e-Tax Invoice by Email) を使用した電子税額票の作成、引渡し及び保管について

歳入局長通達第トー・ポー279/2560

会社又は法人格を有する組合の益金及び損金の計算における発生主義の適用について

付加価値税に係る歳入局長通達 (第214号)

インターネット経由で付加価値税事業者登録を申請し、登録書を発行する際の規則、手続及び条件

印紙税に関する歳入局長通達 (第56号)

一定の文書に関して収入印紙の貼付に代わって現金で納付する方法に関する規定

所得税に関する歳入局長通達 (第293号)

スポーツ選手及びスポーツ指導者が、総合スポーツ競技大会及び国際アマチュアスポーツ競技大会に参加し、その見返りに慣行として受領した賞金に関する 10 百万バーツを超えない範囲での免税に係る規則、手続き及び条件

歳入局解説

証券取引法に基づき設立された不動産投資のミューチュアルファンド、金融機関の問題を解決するための不動産投資のミューチュアルファンド、金融機関の問題を解決するためのミューチュアルファンド及び不動産及び債権のミューチュアルファンドに係る付加価値税、特定事業税及び印紙税について

歳入局ルーリングゴー・コー0702(ゴー・モー12)/210

長期勤務に対する記念品の授与対する個人所得税にかかる源泉徴収税の控除

歳入局ルーリング ゴー・コー第 0702/699 号

金融機関から不良債権(NPL)を買収した場合に係る法人所得税及び特定事業税について

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