タックス・ニュース 第217号 2015年1月号

タックス・ニュース 第217号 2015年1月号

トピックス

1. 保証債務及び抵当権に関する民商法典の改正

  • 上記に関する仏歴2557年民商法典改正法(第20号)が国会を通過し、2015年2月12日より施行される予定となっています。
  • 改正法により、保証人や物上保証人(他人の債務のために自分が所有する不動産を担保提供した者)の責任が限定化されることになりました。
  • 改正内容の概要は以下の通りです。
保証
条文 改正内容
第681条(改正)

将来の債務又は条件付き債務に対して保証を行う場合、従来は特に条件はなかったが、今回、以下の条件に合致しない場合は無効とされる。

  1. 主たる債務の発生原因や性質
  2. 保証限度額
  3. 保証期間を明記しなければならなくなった

尚、③については、期限の定めのない継続的な取引に対する保証については適用されないが、それは、この場合、保証人はいつでも将来に向かって終了することができるからである(699条)。

第681/1条(追加)

連帯保証契約は無効とされることとなった。つまり、主たる債務者が履行不能である場合に限り、保証人が責任を負う。

第686条(改正)

債務者が債務不履行となった場合、債務不履行の日から60日以内に保証人にその旨通知しなければならない。

当該通知を怠ると、保証人は当該期限の後に発生する利息、損害賠償、及びその債務に付随するその他の負担金の支払責任が免除される。

第691条(改正)

債権者が主たる債務者に対して、主たる債務者が特定の期限までに債務を弁済することを条件に債務金額の減額を当該主たる債務者と合意した時、以下のいずれかの場合につき、保証人は債務を免除される。

  1. 主たる債務者が減額された債務を全額弁済した場合
  2. 主たる債務者が減額された債務の一部を弁済し、保証人が残額の弁済した場合
  3. 主たる債務者は減額された債務の弁済ができなかったが、保証人がその全額の弁済をした場合
抵当権
条文 改正内容
第727/1条(追加)

物上保証人の責任は抵当権を設定された資産の価格の範囲に限定された。

第728条(改正)

抵当権者(債権者の側)が抵当権の実行前に相当の期限を定めて物上保証人に対し催告書を送付する義務が以前からあるが、改正法により、当該相当期限は60日以上と定められた。

また抵当権者が15日以内に当該催告書を送付しなかった場合、抵当権者は当該期限後に発生する利息、損害賠償、及び債務に付随するその他負担金の支払責任が免除される。

第729/1条(改正)

抵当権設定者(担保を提供した側)は、抵当権者に対して、抵当権者は裁判所に訴訟を提起することなく、債務の履行期限後、抵当物件の競売の実施をするよう請求できるようになった。但し、他の抵当権や優先権が当該抵当物件に設定されていない場合に限る。

抵当権者は、上記競売請求通知を受理した日から1年以内に実施する義務が課され、期限内に競売が実施されなかった場合、抵当権設定者はその後に発 生する利息、損害賠償、及びその債務に付随するその他の負担金の支払責任が免除される(729/1 条)。

2. IHQ及びITCへのタックスインセンティブ

  • 内閣は、国際統括事務所(International Headquarters (IHQ))と国際貿易センター(International Trading Center(ITC))をタイに誘致するための減税措置を、2014年12月23日に承認しています。
  • IHQは、以前から減税措置のあった地域統括事務所(ROH)と同様のものと思われますが、その定義については、タイの法令に基づき設立された会社で、タイ国内外の関連会社又は支店に対して経営、技術、サポート、及び財務管理等のサービスを提供するものとされています。
  • ITCも、同様にタイの法令に基づき設立された会社であることが条件とされていますが、事業内容は国際調達事務所(International Procurement Office (IPO))とほぼ同じで、原材料及び部品の調達及び国外の会社に対する国際貿易サービスの提供とされています。
  • これらに対する法人税が20%から10%に減税される見込みとなっています。
  • 既存のROH又はIPO企業がこの減税措置の適用を受けることができるか否かはまだ詳細は不明です。わかり次第またご報告したいと思います。

最新法令一覧表

重要法令・ルーリング全訳・解説

仏暦2557(2014)年改正歳入法典第39条

法人格なき社団の定義等

財務省令第304号

国防省早期退職にかかる手当の免税措置

財務省令第305号

旅行業者及びホテル業者に支払う料金にかかる個人所得税免税措置

歳入局ルーリング・ゴーコー0702/1167号

課税標準額の計算の対象とならない報酬にかかる付加価値税

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